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6.222020
個人で中古品を販売するのに「古物商許可」はいるの?取るメリットは?
中古品の販売をしている人で「古物商免許」を掲げている人がいるけど、古物商許可が必要になる基準は何なの?
許可を取るメリットは?
と思ったことはありませんか?
この記事を読むと、ご自身の中古品販売のやり方で古物商許可を取るべきか、についてのお悩みが解消されます。
中古品の販売を本格的に始める方の疑問にお答えしながら、許可取得のお手伝いしている行政書士の私が、中古品販売を考えている方のお役に立てるようご案内します。
古物商許可とは
古物商の許可がいるのはどんな場合かをご説明する前に、「古物商許可」の「古物」とは何でしょうか。
「古物」とは
- 一度使用されたもの
- 一度も使用されていないけれども、売買や譲渡がおこなわれたもの(「新古品」とよばれることもある)
- 1や2のものを修理やメンテナンスなど手入れをしたもの
この3つのカテゴリーに入るものが「古物」にあたります。
「古物商許可」は、「古物」の売買等を業として行う場合に必要となります。
「業として行う」というのは、利益を出そうという意思をもって継続的に行うことをいいます。
といっても取り組み方は様々で、利益が小さいから許可がいらない、というものではありません。
フリーマーケットで時々自分の不用品を売る場合は、高く売れたとしても古物商許可はいりません。
古物商許可を取らずに、利益を得る目的で、中古品の転売を継続した場合は、罰則が科せられる可能性があります。法律では、「三年以下の懲役又は百万円以下の罰金」となっています。
古物商許可が必要となる代表的なケースをみてみましょう。
- 古物を買い取って転売する(修理やメンテナンスをして売ることも含む)
- 古物を買い取って使える部品などを売る
- フリーマーケットを仕入れの場として活用し、利益を載せてネットや店舗で販売する
- 儲ける目的で、ネットオークションで買ったものを、ネットで販売する
- 持ち主から預かった中古品を販売し、売れた後で持ち主から手数料をいただく(衣料品などの委託販売)
- 古物にあたるものを買ってレンタルする(中古のおしゃれ着物のレンタル、中古車を利用した格安レンタカーなど)
どんな場合に古物商許可が必要かを見てきましたが、ではなぜ古物商許可は必要なのでしょうか
古物商許可は、「盗品等の売買の防止、速やかな発見を図る」という目的をもっています。
この目的があるので、古物商許可を出してくれるのは、都道府県公安委員会で、公安委員会は警察を管理しているところです。
古物商許可を取ると、仕入れの際の相手方の確認や取引の記録を残す義務等が課されます(取引の品目等により義務の内容は異なる)。
これは盗品が見つかった場合に、どこからどう流れているのかについてチェックできる体制を取っているためです。
古物商になったら許可違反とならないようしっかり対応しましょう。
許可があるとどんなことができるの?
古物商許可が必要になるケースを見てきましたが、古物商許可を持っているとできることがこんなに広がります。
- 古物商の看板で信頼を得て、ネットや対面で一般の人からも広く仕入れができる
- デパートや地域のイベントに、許可業者として参加して中古品の販売ができる
- 事前に期間限定の「仮設店舗の届出」を出せば、デパートの催事場や露店などで、古物の販売だけでなく買取りもできる(2018年法改正による)
- 仕入れのために売ってくれる方のところに出向いて買取りができる(「行商する」の許可が必要)
- 古物商許可業者だけが参加できる古物市場で売買に参加して、在庫調整や販売商品の充実を図ることができる
- 遺品整理業者が古物商許可を取れば、遺族の希望に応じた遺品の買取り、転売ができる
また従来は、新たな都道府県に営業所を出すには、営業所を管轄する公安委員会の許可が必要でした。
しかし法改正により2020年4月からは、古物商許可は全国で一本化されました。
これによって別の都道府県に営業所を出すときも、主たる事務所の公安委員会に届け出ができるようになりました。
複数の店舗展開も効率的にできるようになったのです。
他にも近年の法改正等で、古物商許可は活用しやすいものになっています。
中古品の転売等でしっかり稼いでいきたい方は、古物商許可を取ることをお勧めします。
ただし古物商許可は、申請をしてから許可が出るまでに、土・日・祝日を除いて約40日かかるので、計画を立てる際は、この点にも気を付けてください。
古物商を個人事業で始めるメリット
古物商許可は、個人でも法人でも取ることができます。
個人の場合、開業届を出した個人事業主でなければ古物商の許可が取得しにくいということはありません。
しかし古物商許可を取得して売り上げを上げいきたいのであれば、古物商許可が取れれば、次に「開業届」を出して個人事業主として開業するとよいでしょう。
古物商でも、事業を大きくする過程でWebを活用した新たな仕組みを作ったり、多くの商品を仕入れたりして、まとまったお金が必要となることがあります。
そんな資金調達のために、融資を受けたり補助金を活用したりすることがあります。
このような時には、事業に必要な許可を持っていることと、個人事業主として「開業届」を出した事業者であることは必須の要件となってきます。
また、古物商に限りませんが、「開業届」を出して個人事業主になると、屋号付きの銀行口座が作りやすくなることもメリットの一つでしょう。
また、「開業届」に加えて「所得税の青色申告承認申請書」を提出して「青色申告」をおこなえば、税金を少なくできる、いくつものメリットがあります。
古物商許可取得後にいきなり法人化することも可能ですが、法人化すれば経営者の給与が経費にできるなどのメリットもある一方、事業が赤字の時も7万円の税金がかかるというデメリットもあります。
安定した売り上げが上がるようになるまでは個人事業でやっていくのは、経営面からもメリットが大きいといえるでしょう。
まとめ:古物商許可を取って個人事業を始めましょう
今回は、古物商許可はどんな場合に必要で、許可を取るとどんなことができるのか、古物商を個人事業で始めるメリット、についてご案内しました。
ポイントをまとめると次の通りです。
- 利益を出す意思をもって、古物の売買等を継続的に行うには、古物商許可が必要
- 個人事業でも、古物商許可があるとできることが広がる
- 個人が事業を大きくする過程で、古物商許可と個人事業主のセットはとても有効
古物商の事業は、小さく始めても、ネットの活用などで大きく育てることができます。
古物商許可を取って個人事業から始めませんか。